1 ボランティアたち

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燦々と降り注ぐ夏の太陽の下で、爽平は、思わずポカンと佇んだ。 バスも車も、走るどころか姿もない。 いや、それ以前に人の姿も見当たらない。 そして、目に出来る建物といえば、 畑の奥まった所に小さく点在している民家らしき数軒だけ。 なんとなく異次元にでも迷い込んだような錯覚に、彼は、にわかに包まれる。 しかし、ここが異次元でないことを示すかに、 彼は、手にした一枚の案内に目を落とした。 ボランティアの申し込み手続きを済ませて数日後、 村役場から送られてきたこの案内を見た当初、 彼は、随分と手抜きな地図が描かれていると思った。 しかしこれは、全く手抜きなどではない。 まさに、目の前のこの光景が案内の隅に描かれた地図になっている。 まぁ、行くか。 ひとつ息をついた彼は、やっと驚きの衝撃から覚めたように 小さく胸の内で呟いた。 そして、下げていたスポーツバッグを「よいしょ」と肩に掛け直し、 彼は、ゆっくりと目の前の道を歩きだした。
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