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真夏の太陽の下、音らしい音はセミの大合唱だけのように思えた。
しかし、それもそのはず。
目に出来る光景の中で、人間は彼一人だけ。
広々とした畑にすら、誰もいない。
それだけに、自分の足音が妙に高く感じられる。
すげぇ。これなら、自然学校も目指すよなぁ。
徒歩で約15分と案内された村役場までの道のりを歩きながら、
妙な納得が、爽平の頭を掠めていく。
だが同時に、コンビニにスーパーが当たり前の生活しか知らない彼には、
いったいここの人々は、どうやって暮らしているのかと不思議になってくる。
だがその疑問は、歩き始めて五分余りで解消された。
畑を両脇に従えたように伸びる道をしばらく歩き、
ポツリ、ポツリとある民家を通りすぎた辺りまで来ると
向こうの方に、まばらに群生した建物が見えてきた。
あっ、ちょっと街っぽい。
駅前の衝撃の光景のせいか、そんな事が彼の頭に浮かんでくる。
そして爽平は、徐々に視界の中で近づいてくるそれらの建物を
のんびりと数えてみた。
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