プロローグ

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 男の子はオッサンを「ダディ!」と、呼んでるから、こりゃ殺したのはわが子じゃんか、R18の規制がかかっても、キツかったよ。あまりの残酷さに気が遠くなって――目を開けたらウチのベッドの上で寝てた。  夢から覚めただけだろうって? そうだけど、しばらくショックで眠るのが怖くなっちゃったね。  これは今でもトラウマで、思い出すたびに落ち込むんだよ。  だってさ、これってわたしの時間を戻して、もう一度チャンスをつかみたいという願望に対する究極のアンチテーゼだよ。全否定じゃんか!  あのオッサンが住むような世界じゃ、ただ時間を戻しても意味ないじゃない。生まれた場所が犯罪王国だったり、親が虐待するなら、やり直したいと思わないよね。エンドレスで追体験なんてとんでもない。一度だけで、もうおなか一杯だよ。  で、伯母さんのウチで目がさえて困っているときに、それを思い出してさぁ、夢の世界で起きたんならすべてがゼロになって、男の子が幸せに暮らしている世界もあっていいじゃない? なんて思ったわけよ。  
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