プロローグ

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 さて、どこから話せばいいのやら、やっぱり今年の夏から始めるか?   高校一年の夏休みを満喫してる真っ最中と思ってください。  で、さぁ、歴史研究部で発表していた課題で、わたしは饅頭の謎に挑んでいるってわけ。  なんで饅頭なんか勉強しているかっていえば、これはおいおい話すとして、夏休み中で、世話になった伯母さんとこでショックなことがあったのよ。  沖縄の伯母さんから聞いたんだけど、沖縄の池間島では三歳ほどで死んだ子は魔物とされ、体を傷つけて『もう生まれるな』と叱り、洞窟に捨てる風習があるんだって。もうドン引きだったね。  なんで、そんな残酷な風習があるのか?  これがさっぱりわかんない。  考えすぎて、頭から湯気出しながら天井を眺めていたら、木目が雲に見えたり、島に見えたり、水面に浮かぶ波紋のようにも見えてくる。  (今、何時なの?)   スマホは充電中、壁時計見たら、真夜中の十二時ジャストになっていた。  ただ今、沖縄の伯母さんの家へ遊びに来てるんだけど、枕がいつもと違うのって、結構キツくて眠れない。  枕ばっかじゃないよ。風が強くて窓なんかガタガタいってるし。神経が休まらないよ。  でも疲れてるのに眠れないってつらい。夜更かしはお肌の天敵なんだし、親戚の家に厄介になっていて、目にクマ作るってどうよ。なんだかとっても申し訳ないじゃない。  で、ファンタジーごっこで暇をつぶす。つまり空想の世界で過ごすわけだ。  そうすりゃ、す~と、気が遠くなって眠くなるかも?  そういえば、お祖父ちゃんから聞いたけど、中国の古い話で胡蝶の夢というのがあるんだって、学者の荘子さんが夢の中で蝶々になって遊んでいて、途中で夢から覚めるの。  でも、その人は思うのね。わたしは蝶の夢で、あの蝶々こそが自分じゃないかって。
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