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幾つかの讃美歌合唱が終わり、一同着席する音がした。
オルガンの結婚行進曲を奏でた。
皆、静粛を守っている。
バージンロードのドアが開き、オルガンの演奏が更に大きな音を立てる。
声を控えた歓声と喚起が聞こえる。
今、みゆきが、僕の後ろにいる。
もうすぐ、僕の横をウエディングドレスのみゆきが通る。
曲に合わせ一歩ずつ近づいてくるのが判る。
厳かな儀式の中、女性たちの花嫁への称賛が大きく成って行く。
白いウエディングドレスの裾が目に入った。
今、みゆきが傍にいる。
僕はみゆきを盗み見た。
白いベールに包まれたみゆきがそこにいた。
みゆきは、美しかった。
真っ直ぐ前を見て、ゆっくりと新郎の元へ歩いてゆく。
みゆきが僕から離れてゆく、愛する人を失う恐怖が襲ってきた。
みゆきが他の男のものになってしまう。
体の震えを抑えきれない。
僕は、袖口を強く咬み、動揺を抑えた。
頭の中で音楽が鳴り響き、朦朧とした時間が過ぎる。
僕は周りの不思議な空気にハッとした。
「なんだ」
周りが緊張している。
牧師の声がした。
「今二人は、結婚しようとしています。この結婚に異議のある方は速やかに申し出てください」
牧師は再度唱えた。
「この結婚に反対するものは、速やかに訴え出なさい」
祭壇で、みゆきが知らない男と向かい合っている。
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