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応接室では、クリスが奏の手を軽く触れながら館の住み心地などを聴いていた。
マルガリタがお茶と菓子をテーブルに載せ、ゆっくりと紅茶を注ぐ。
肝が据わったらしく、先ほど慌てて部屋に入ってきた時よりも落ち着いていた。
「ありがとう、マルガリタ」
奏が微笑んでマルガリタに礼を言う。
スカートの裾をつまんで挨拶して、マルガリタは退出した。
「一息ついたら、裏の薔薇園で一緒に過ごしたい」
クリスからの誘いに了承して、お茶を飲んだが喉は潤わなかった。
胸の鼓動が早鐘を打っている。
クリスが傍にいるだけで、胸がいっぱいになり苦しくなってくる。
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