第3話

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クリスが館を去る前に、レミジオから珍しく話しかけられた。 「少々、よろしいでしょうか?」 奏は身構えて、息をすぅっと吐いた。 「単刀直入に伺います」 「……はい……」 レミジオの眉間(みけん)(しわ)が寄る。 「クリス様とは、婚儀(こんぎ)の話しは?」 「こ、婚儀!?……つまり……」 「結婚の話です」 「……わ、私は……」 「何も聴いていないのですか?」 行きなり婚儀の話しを出された奏はうろたえた。 ――クリスに婚約者がいるの? ―― 「クリス様とカナデ様は、今後、お付き合いをされるかどうか? と確認したいのです」 「私がクリスと付き合う?」 レミジオは美麗な顔つきだが、目は鋭く厳しい眼差(まなざ)しを向けている。
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