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クリスが館を去る前に、レミジオから珍しく話しかけられた。
「少々、よろしいでしょうか?」
奏は身構えて、息をすぅっと吐いた。
「単刀直入に伺います」
「……はい……」
レミジオの眉間に皺が寄る。
「クリス様とは、婚儀の話しは?」
「こ、婚儀!?……つまり……」
「結婚の話です」
「……わ、私は……」
「何も聴いていないのですか?」
行きなり婚儀の話しを出された奏はうろたえた。
――クリスに婚約者がいるの? ――
「クリス様とカナデ様は、今後、お付き合いをされるかどうか? と確認したいのです」
「私がクリスと付き合う?」
レミジオは美麗な顔つきだが、目は鋭く厳しい眼差しを向けている。
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