第3話

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レミジオがカナに話しかけている様子を、クリスは馬車の中から(うかが)っていた。 カナの表情が段々と曇っていくのが分かった。 何か変な話をしていないだろうか? レミジオが館に行く道中に、『カナデ様に確認しておきたいことがございますので、帰る前に話をさせてください』と珍しく申し出たのだ。 レミジオは、出自(しゅつじ)が不明な者だが、アントニウスが執事としての腕を買い、クリストファー付きの執事としてあてがった。 何かを見透かしたかのような瞳を向けられる時がある。 黒色に、藍色が差し込んだ瞳。 どこかで、昔、見据(みす)えられた覚えがある。 だが、瞳は同じでも、外見は全く違っていた。 ――あの“魔法使い”を思い出させる―― 蛇が蛙に睨まれ、身が(すく)む思いになる。 あいつのあの瞳に鋭く見られるのは、耐え(がた)い。
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