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馬車から降りて、レミジオをカナから引き離そうとした時には、カナから離れ馬車に向かって来ていた。
馬車に乗り込む前に、御者に出立の合図をした。
向い合せに座ったクリスは、レミジオを一瞥すると外のカナに視線を向けた。
何処か心ここにあらずといった様子だったが、クリスと瞳が逢うと、少し頬を桜色に染めて軽く手を挙げ見送ってくれた。
馬車を見送った奏は、館へと踵を返した。
――私自身の気持ち――
クリスへの自分の気持ちを認識できるまでは、彼と再び逢うことは控えた方が良いかしら?
――でも、逢えないのは……寂しい――
この“気持ち”が何なのか、ママが生きていたらこっそり耳打ちして「これはね……」とクスクス笑いながら話してくれたかもしれない。
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