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オーセンフェリアに来てから、1ヶ月以上経つのに、ママの、愛実の墓に奏だけは一度も足を運んでいない。
――明日にでも、いいえ、これから行ってみても――
シュッテンを探し、馬車を出して貰えるように話をしてから支度をして中央教会へと向かった。
出掛ける前に、一郎に「外出する」と一言告げてきた。
どこか遠くを観るような様子だったが、「気をつけて行くんだよ」と出掛けるのを見送ってくれた。
――今日は、私とママだけで話しがしたい――
中央教会へは、半刻ほどで着いた。
「シュッテンは、ここで待っていて」
「わかりやしタ、お嬢さま」
出る前に薔薇園から、数本薔薇を持って来ていた。
小さな手提げ鞄と一緒に持ち、ママが眠る墓地へと足を運んだ。
13年ぶりの“再会”だった。
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