タロット占い

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顔を上げた先に紀伊ちゃんを見つけてカードを集める。 これ以上占いたくないって気持ちもあったのかも知れないな。 「なに、沈んだ顔してるのよ。占い結果悪かったの?」 大きなトレーに二人分のランチを運んできた紀伊ちゃんは心配そうに私を見下ろす。 「あ・・・うん、あんまり良くなかった」 肩を落として溜め息をついた。 「大丈夫よ。千尋の占いは自分のことは当たらないから」 フフフと笑って、紀伊ちゃんはテーブルにトレーを置いた。 「そ、そんなことないもん」 酷いよ、紀伊ちゃん。 「そんなことあるわよ。どれだけ一緒にいたと思ってるのよ。ほら、温かいうちに食べよ」 そう言いながら紀伊ちゃんはAランチを私の前に置いてくれた。 「う、うん。ありがとう。お金後で渡すね」 「良いわよ。食費から払っておくし」 「了解」 頷いて、テーブルの上のカトラリーからナイフとフォークを取り出した。 うちの実家と紀伊ちゃんの実家で食費と家賃を折半していて、食費の方は共有のお財布に入れてある。 お互いに使うときにそこから貰っていくようにしてるんだ。 「「いただきます」」 二人で両手を合わせる。 出来立てのAランチは美味しそうだ。 ハンバーグとエビフライとサラダとパンとカボチャのスープ。 ここのランチは安くて美味しい。 「千尋も今日はバイトだよね?」 「うん。紀伊ちゃんもだよね?」 「そうよ。今日は10時までだから、先にご飯食べて寝て」 「分かった。私は今日はカテキョの方だから8時半には帰れるから晩御飯作っておいとくね」 「いつもありがと」 「ううん、こちらこそ」 フフフと笑い合う。 紀伊ちゃんはカラオケ店で週5でアルバイト。 私は家庭教師とマンション近くのコンビニで週2回バイトしてる。 早く終わる方がその日の夕飯を作ることになってるんだよね。 「私、カテキョのバイトもう一人増えるかも」 この間、学長に言われた事を思い出して伝える。
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