一年零組

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いつも朝一番に教室に入るのは俺だった。それは入学してからただの一度も覆った事はない。だというのに、担任が倒れて臨時に入った、山田花丸という男によって断たれた。(別に記録というような大それたものではないが…。)俺が教室に入ると、そいつは呑気に、何かの蕾が活けられた花瓶の水を入れ替えていた。零組に花瓶なんてない。こいつが勝手に持ってきたものだ。 「ようおはよう。お前は確か保健委員!」 そいつは俺に気付くと、花瓶を置いて挨拶をした。保健委員なんて名ばかりで、委員会に出席などしたことない。言われてはじめて、自分が保健委員であったことを思い出す。挨拶を回避しながら俺は自分の席に座り、机に鞄を置いて参考書を開いた。「聞こえてないのかな?」という腑抜けた声が聞こえて、次にもう一度「おはよーっす!」と発せられたが、俺が顔を上げることは無かった。すると、山田花丸は俺の隣の席に腰をかけると、どこからか取り出した、教科書や参考書よりも分厚い本のページを開く。 「じゃーん!今日はジャソプの発売日!」 「……。」     
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