第2章

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 状況を把握できても、自分がそれに携わる想像ができない。やはり現実味がない。そのくせ入社した時と同じくらいの緊張感や、今までに感じた事のない期待感や不安がないまぜになって体中に満ちていた。  それに先程の部長の言葉だ。瀬名は……俺と仕事をする事を望んでくれた。研修担当だったからとか、年齢が近いから気兼ねしないとか、そんな単純な理由からなのかもしれない。だけどやっぱり、嬉しかった。  その日の帰り、決起会と称して瀬名と二人で飲みに出掛けた。気持ちいい気分で飲む酒はとにかく美味くて、日付が変わっても高揚した気分は下がらないままだった。それは瀬名も同じみたいで、結局場所を変えて飲み直す事になり、タクシーで俺の自宅へと移動をした。 「意外に部屋が綺麗でびっくりしました」  部屋の中央にあるテーブルに買い込んできた酒を置くと、瀬名は十畳ワンルームの室内を見回した。 「あ? なんだとコラ。どういう意味だよ」 「だって、悠木さんの会社の机の惨状を見る限り、とてもじゃないですがこの部屋に結びつかないですよ」 「……うるせーよ」  瀬名が言う通り、先週までこの部屋はひどい有り様だった。そしてそれを掃除したのは俺ではない。 「彼女が掃除してくれたんでしょう?」  図星を指されて押し黙る。  美奈子と三ヶ月振りに会う事になり、行きたい場所のリクエストを訊ねると俺の部屋と言われた。部屋に入った美奈子は室内の散らかり具合を見て、「こうなってると思った」と笑って掃除し始めた。 「なーんだ、ラブラブじゃないですか」  呟いた瀬名の声はどこか不満そうだ。からかわれているのだと思い、テーブルの下で足を蹴り飛ばした。
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