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「悠木さん、ストップ!」
瀬名の制止の声も聞かず、めちゃくちゃに暴れた。
「悠木さんってば!」
瀬名に両手を掴まれて、強制的に動きを止めさせられた。
「ごめんなさい」
予想外の言葉で切り出されて、面食らう。
「嬉し過ぎて調子に乗りました。……すみません」
しゅんとした態度に完全に怒りを削がれる。
「……俺は、全然眠れませんでした。眠って……次目覚めた時全部夢だったらどうしようって、心配で」
瀬名は頼りなく感じる声でそう打ち明けた。
「夢じゃなくて、……よかった」
俺の所為で、端正な顔が水浸しだった。頬や髪から雫を垂らしながら、瀬名が心底幸せそうに笑う。そのまま瀬名がゆっくりと近付いてくる。俺はそうする事が当然のように目を閉じた。
初めは啄ばむだけだった柔らかな接触が、少しずつ変化して息が乱れる。
「ちょっと……瀬名」
口付けと並行して、水中で不穏な動きを見せ始めた瀬名の手に、慌ててその胸を押し返す。俺の抵抗などものともせず、下腹部へと伸びてきた手に体を跳ねさせた。
「約束通り、隅々まで綺麗にさせて下さい」
湯に浸かる前、汚れたままの体を軽く洗った。しかし、日が昇り切らない春の朝に、野外で裸でいるのは寒かったし、瀬名に見られている状況も居た堪れなかったので、あとでしっかり洗浄する事にして、早々に湯に浸かってしまった。考えると顔から火が出そうな事実だが、きっと体内にはまだ、瀬名が出したものが残っている筈だ。
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