第6章

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「悠木さん、ストップ!」  瀬名の制止の声も聞かず、めちゃくちゃに暴れた。 「悠木さんってば!」  瀬名に両手を掴まれて、強制的に動きを止めさせられた。 「ごめんなさい」  予想外の言葉で切り出されて、面食らう。 「嬉し過ぎて調子に乗りました。……すみません」  しゅんとした態度に完全に怒りを削がれる。 「……俺は、全然眠れませんでした。眠って……次目覚めた時全部夢だったらどうしようって、心配で」  瀬名は頼りなく感じる声でそう打ち明けた。 「夢じゃなくて、……よかった」  俺の所為で、端正な顔が水浸しだった。頬や髪から雫を垂らしながら、瀬名が心底幸せそうに笑う。そのまま瀬名がゆっくりと近付いてくる。俺はそうする事が当然のように目を閉じた。  初めは啄ばむだけだった柔らかな接触が、少しずつ変化して息が乱れる。 「ちょっと……瀬名」  口付けと並行して、水中で不穏な動きを見せ始めた瀬名の手に、慌ててその胸を押し返す。俺の抵抗などものともせず、下腹部へと伸びてきた手に体を跳ねさせた。 「約束通り、隅々まで綺麗にさせて下さい」  湯に浸かる前、汚れたままの体を軽く洗った。しかし、日が昇り切らない春の朝に、野外で裸でいるのは寒かったし、瀬名に見られている状況も居た堪れなかったので、あとでしっかり洗浄する事にして、早々に湯に浸かってしまった。考えると顔から火が出そうな事実だが、きっと体内にはまだ、瀬名が出したものが残っている筈だ。
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