二月三日

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二月三日

 冷たい風が積もった雪を舞い上がらせる。  その勢いで、私の目前は白く染まった。  迷惑なことだ。  こちらは今にも凍えそうだというのに。 「寒い……」  誰が聞いているわけでもないのだが、小さく呟いた。  吐息が白く立ち昇る。  私は袖口を伸ばして指先をしまい、首に巻いている赤いマフラーに顔をうずめた。  かれこれ二時間はここにいる。  あの人との待ち合わせ場所である、駅前の小さな書店の入り口に。  帰ろうかと一瞬考えるが、昨日の決意を思い出し踏み留まる、ということを数回くり返しながら。
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