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その時、頭にぽん、と手が置かれる感触がした。
手は乱雑に私の頭を撫でる。
六年間と同じやり方だ。
体の芯まで冷え切っていたのに、それだけで徐々に体温が上昇するのを感じた。
「もういないかと思った。……ごめん」
私の方こそ、もう来ないかと思った。
――言おうと思っても声が出ない。
もし出たとしても、今の私の声は涙交じりのぐちゃぐちゃな音で、何を言っているか聞き取れないだろう。
喋る代わりに、私は彼の胸へ頭突きをした。
大好き。
と、心の中で何度も繰り返しながら。
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