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三日めの朝。アマンダがある計画を王子に説明すると、彼はすぐに理解し手筈を整えてくれた。これで安心して約束の物を魔女に渡せる。だけどできるだけ、ぎりぎりまで手放したくない。せめて夕食後のデザートが済むまでは……。
二人はとびきり幸せな恋人同士の甘い一日を過ごし、夕食は部屋に運び込ませて二人きりのディナーを愉しんだ。食後のデザートはフルーツとババロア、そして甘いキス。恋に燃える瞳を交わし合い、求め合う
身体と身体……。
愛し合った余韻に浸りながら深い眠りに落ち、束の間の眠りからすっきりと目覚めた二人。そしてベッドから出た二人は、月明かりを頼りにプライベートビーチへ。
二人は白い桟橋を沖へと向かっている。アマンダの車イスをルーカスが押しながら。桟橋の先で車イスが止まった。海は明るい月明かりに照らし出されている。その海に向かってアマンダが叫ぶ。
「グローリアー! 約束の物を持ってきたわー!」
すると、海の底から影が現れ、海の上に魔女グロリアが顔を出した。
「うまくやったじゃないのさ、アマンダ」
「こんばんは、グロリア。あなたに素敵なプレゼントがあるの。きっと気に入ってくれると思うわ。ぜひ使ってちょうだいね」
「はじめまして、グロリア。僕はルーカス。君へのプレゼントはグランドビーチ前の海に作らせているから、明日の夕方にでも見に行ってくれたまえ」
「おや、ありがとう、二人とも。ずいぶん気前が良いんだね。じゃあ一つ、何か願いを聞いてあげよう。但し、約束の物はいただくよ?」
「ありがとう、グロリア。あなたの素晴らしい歌についてお願いがあるの…………」
アマンダの願いをグロリアは聞き入れてくれた。これでもう、大丈夫。
「さあ横におなり、二人とも」
覚悟を決めたアマンダとルーカスは、桟橋の上に仰向けに横たわり互いの手をしっかり握り合うと、静かに瞼を閉じた。
グロリアは桟橋へ躍り上がると、嬉しそうに目を爛々と光らせながら、横たわる二人の胸の中からきらきらと輝く約束の物を取り出す……。それは、『
恋心』だった。
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