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深まる思い
二日め。二人はさらに相互理解を深めあった。
朝食が済むと、ルーカスは書物を紐解いて挿絵を見せながらこの国の歴史を説明し、壁に掛けられている肖像画を一枚一枚指差して見せながら王家の歴史を説明した。
それから昨夜紹介した自分の家族についても、それぞれの人となりが伺えるような楽しいエピソードを話してくれた。
そしてこれからこの国をどのように発展させていきたいかという国策についても熱く語る。
――王子さまが私に語りかけてくれる言葉は、一言だって聴き漏らさないわ――
とアマンダは熱心に耳を傾ける。
ルーカスはルーカスで、元人魚姫の語る海の民の国の不思議な話に興味深く耳を傾けてくれた。
午前中、アマンダはルーカスにまたせがまれて室内で静かに歌を歌う。
海の民の国に古くから伝わる恋の歌だった。ルーカスは彼女の歌声に陶酔する。
静かに歌うアマンダのよく通る声の響きは、扉のすき間を通り抜け、部屋の前を通りかかった侍従長の耳に届いてしまった。
顔色を変えた侍従長は足早に立ち去ると、若い侍従をつかまえて耳打ちする。耳打ちされた侍従は小走りで城外へ。
何も知らないルーカスとアマンダは、昼食時もリラックスして美味しい料理に舌鼓を打ち、アマンダはルーカスのしてくれる料理の講釈や食材についての解説を楽しんだ。
自分の話を朗らかに聴きながら美味しそうに料理を食べるアマンダの姿に、ルーカスはますます心惹かれてゆく。
――この娘の笑顔を毎日見ていたい。この娘を幸せにしたい――
共に過ごす時間が長くなるほどその思いはますます大きくふくらんでゆくのだった。
そんな愉しげな二人の側に、侍従長は苦しげな表情で伏し目がちに立っている。いつもとは違う彼の様子を、ルーカスは見逃さなかった。
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