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女帝クラウディアの後を継いだのは長男のカルス1世だ。
「貴族どもから兵を取り上げなければならない!」
母の苦労を身近に感じていた彼は、斬新過ぎる軍事理論で爪弾きにされていた、隣国ローゼンベルク大公国の軍学者ギルベルト・クラーゼンをヘッドハンティングして軍制改革に当たらせた。
反乱を予測した彼は、まず腕利きの騎士たちからなる親衛隊「熾天騎士団」を組織し、自らの忠実な番犬として彼らに高い地位を与えた。
その上で改革に着手し、少しでも逆らった貴族には即座に熾天騎士団を派遣して容赦なく牢獄に放り込んだ。
苛烈な改革だったが、軍制改革自体は大成功を治め、グランツ帝国軍は諸侯たちの混成軍ではなく徴兵と階級、軍団制によって統制される中央集権的な国軍に生まれ変わった。
これ以降、グランツ帝国陸海軍は、身分に関係なく階級で職権と指揮系統が決定する組織となる。
陸軍
兵卒 2等兵から上等兵まで3階級
兵士長 歩兵5人の班長、あるいは騎兵、杖兵
兵曹長 小隊長の補佐役
小隊長 歩兵25人、あるいは騎兵5人、杖兵5人の隊長
中隊長 歩兵100人、あるいは騎兵25人、杖兵25人の隊長
大隊長 歩兵500人、あるいは騎兵100人、杖兵100人の指揮官
連隊長 歩兵1500人、あるいは騎兵300人、杖兵300人の指揮官
軍団長 歩兵3000人、騎兵600人、杖兵600人、これに輜重隊500人と軍団本部騎士団を加えて総勢5000の司令官
准将、少将 軍の高級参謀、副司令官
将軍 数個軍団を率いる司令官
大将軍 陸軍司令長官
海軍
水兵 2等から上等までの3階級
水兵長 水兵5人を率いる班長
兵曹長 将校の補佐役
少尉 スループ艦の副長、機関長
中尉 フリゲート艦の副長、機関長、砲術長
大尉 ガレオン艦の副長、機関長、砲術長
少佐 スループ艦長
中佐 フリゲート艦長
大佐 ガレオン艦長
准提督 戦隊指揮官、高級参謀
少提督 分艦隊司令官、艦隊副司令官、参謀長
提督 艦隊司令官、帝国艦隊参謀総長
大提督 帝国艦隊司令長官
元々軍人たちの感覚に合致していたのか、この新しいシステムは瞬く間に浸透した。
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