名もなき聲

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「ただいまー、っす」 「あ、おかえり恭弥」 「おかえり~」 「恭弥様、紅茶とコーヒーどちらになさいますか?」 「は……?」 「物凄いマヌケ面ですよ。まずは口を閉じてください」 いつもの事務所の風景になんら違和感なく混じる、仁さん、あずきちゃん、エディさんに紫紀くんまで。 「もう、また悠一さんに事件押し付けに来たんですか?」 「人聞きの悪いこと言わないでよ。今日は近くに用事があったから少し寄っただけ」 「みんな、ケーキたべる?」 給湯室からひょっこり顔を出した雅人さんはにこにこと箱をかかげている。 「食べるー!!!」 ぴょこっと手を挙げたエディさんを見て差し出された3つのケー…… 「雅人、僕の分は?」 「あるわけない」 「ひどくない!?」 「みんな、ゆっくりしていってね。波多野は早く帰ってね」 グズグズと泣き真似を始める仁さんをみんなスルーする。 見慣れた光景だ。
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