序章

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「ネギ、と……油揚げ、でいいか」 あくびを噛み殺して冷蔵庫とにらめっこをする。 鍋を火にかけリズムよくネギを切っていく。 「……なにしてんだよ」 「おはようございます。朝ごはん作ってるに決まってるじゃないですか」 「休みだろ今日……まだねみぃ……」 「悠一さんは寝てていいですよ。できたら起こしますから」 後ろから首にまわされた腕をぽんぽんと叩く。 「さみぃんだよ。お前がいねぇと」 「ちょっ、包丁持ってんだから危なっ……火もついてるし、あー!もう!」 包丁を置き火を止める。 「やですよ。今日買い物行く予定でしょ。一緒に布団入ったら絶対寝過ごす」 ぎゅっと締め付けて離してくれそうもない腕にとりあえず手を添えてみる。 「家具、いーかげん揃えましょうよ。ね?」 くるりと首をひねって後ろにある顔を見上げる。 眼鏡をしていない寝惚け眼を数回瞬かせた悠一さん。
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