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そんな母は自分の容姿を生かして、女優になった。ハーフといっても、日本人らしい顔立ちの方が強かった。恵まれていたのかもしれない。
世の中にファッション雑誌が出回り出すと、必ずその雑誌に出たらしい。当時の若い女性の憧れの的となった。
そんな母は、ある日実業家と結婚した。と同時に、女優は引退したのだ。母もまた子宝になかなか恵まれなかったらしい。
そんな母に奇跡が訪れたのは、昭和五十八年。
母のお腹に子供が宿った。それが私だった。
母は女優業を引退したにも関わらず、当時週刊誌に取り上げられたそうだ。
産婦人科に健診に行く際、よくマスコミに撮られたそうだ。しかし母は、何とも思わなかった。むしろ誇らしげに感じたそうだ。
そして五十九年、私が産まれた。
私の母はハーフ。父は普通に日本人。そんな私も幸い、容姿に恵まれた。子供の頃、原宿を歩いているとスカウトされた事が度々あったっけ……。容姿に恵まれた事は、母に感謝しなければならない。
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