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「あの、もしかしてホシは今原が薮塚警部の切符を切るのを見て、今原と目があったと思ったんじゃありません?」
この角度から、例の住まいは見える。ホシは、おそらくあの部屋で55歳の女性を殺害した時、今原と目があったと思ったのではないだろうか。
「あぁ、そうか! 確か遺体は死後何日か経過してる。死亡推定時刻や死亡日程は、薮塚さんが、今原に切符を切られた日、時刻。女性が殺された日、時刻と一致する」
馬場警部補もそれに気がついた。
そう考えれば、辻褄が合う。
ようやくわかった所で、無線が入る。
『A署管内より、覆面23』
何故高島平の警察署から、この覆面パトに無線が入るのか、不思議だった。そう思いつつも、俺は応答する。
「覆面23から、A署、どうぞ」
『今原巡査をひき逃げしたホシが、自首しにきました、どうぞ』
「覆面23からA署、了解です」
俺は馬場警部補と互いに顔を見合わせた。
焦るな。きっと主犯ではない。
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