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 この男の名は、ミゲル・トマスと言った。ミゲルというのが名で、トマスが苗字らしい。 「トマスさん。中島仁って男は、これ、いた訳だよね?」  俺は右手の小指を出した。トマスは「イエス」と頷く。 「女の名は?」 「ユカコだか、ユカリだか、そういう名だった」  意気消沈しながら、トマスは答える。河合優佳で間違いないだろう。 「河合優佳がどこにいるか、あんた分かる?」  馬場警部補が身を乗り出す。トマスは、大宮のスナックで今は働いていると告げた。  以外に近くにいた事に驚きを覚えた。もっと遠くへ逃げたかと思ったが。 「中島仁の住処は?」  俺は続けて尋ねた。しかし、それについては知らないらしい。    彼は何もかも、自爆した。が、知らない事もあり知らない事は答えられないという。
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