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「愛人してた割に、切りつめるところは切り詰めてたんですかねぇ。全部東京都の店のポイントカードばかりですな」
埼玉県警の警部補は、少し薄くなった頭を掻きながらカードを眺めていた。
その中に、黄色いカードが出て来た。昔で言う、テレホンカードみたいなカードだ。クオカードにそっくりだ。
「何ですかね、このカード」
警部補は、眉を潜めながら裏を返す。
俺の隣で、馬場警部補が「もしかして」と指を指した。俺も見た事がないカードだった。
「Rハッターンホテルのカードかもしれません」
「え? あの一流ホテルのか」
埼玉県警の警部補は目を丸めた。そのホテルは大田区にある、割と格式の高いホテルだと記憶している。確か羽田空港の近くだった気がするが。
俺は行った事がない。縁がない世界だ。
「……。はい。俺、結婚して新婚旅行に行く時、前日にそこのホテルに泊まりましたから」
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