交番ガールの章 夜のレインボウ

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交番ガールの章 夜のレインボウ

1.  お腹も大分、大きくなってきた。  安定期に入った私は、お腹が空く事も多くなってきた。けれども、体重が増えては、怒られる。  私はそれが恐ろしかった。  非番のその日、仮眠を取った後空腹になった私は、食事を買いに外へ出る事にした。  夫は今日は当直だ。  着替えてコートを羽織り、玄関を出て歩いていると池村君と奈美さんに、バッタリ会った。 「こんばんは。お買い物ですか?」  奈美さんは、楽しそうな笑みで私の方を見る。 「えぇ。お腹すいちゃったから、コンビニに行こうと思って」   これじゃ、一人暮らしの独身のOLみたいだな。なんて思った。一応私は主婦なのだから、自分で作ればいいのだけれど。  作る気力はなかった。 「そうか。俺達はメシ食いに行くんだ」と、池村君。 「あの、よかったらご一緒しません?」と、奈美さんは続けた。池村君も隣で、頷いている。 「いえ、そんな……。あなた達、新婚さんじゃないの」  せっかくの二人の時間。邪魔をしては申し訳ない。
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