交番ガールの章 夜のレインボウ

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「えっ、何? そんな事があったの?」  ありがとう。と私がお礼を言おうとすると、奈美さんは、食べる手を停め傍らで池村君を見た。  池村君はギクリと、肩が跳ねる。 (あぁ~あ、間抜けだなぁ……。今そんな話しなくても……)  思わず苦笑いしてしまった。  奈美さんは小首を傾げながら、すがるような表情を池村君に向ける。焦る池村君は、セリフを探しているようだ。 「あぁ、あのね、まぁ、仕事でミスしたのよね。業務上相手の事もあって、詳細は一般の人には教えられないの」  私はごまかしながら、説明した。 「あ、うん。そうそう」  池村君はあははと、苦笑いする。    この仕事をしていると、一般人には内緒にしなければならない事は多いから。  奈美さんは「あ、そうなんだ」と、その辺は理解があり、それ以上追及しようとはしなかった。
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