交番ガールの章 夜のレインボウ

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 そんな時、夫が帰宅した。  ヘロヘロになっていた。当直明けはお互い様。 「お帰り。トーストで良ければ焼こうか?」 「あ、うん。お願い」  彼はそう言って眠そうではあるが、テーブルの前に腰かけた。多分、眠気より今は空腹なんだろうな。 「あ」  私が目玉焼きを焼いている時、夫は視線を窓の外に移した。 「あのビル、ついに出来たんだな」 「そうそう。池村君の奥さんの話によるとね、上の階は住まいのフロアなんだって。しかも2LDK。いいよね。眺めも良いし」 「へぇ~、そうか」  夫は眠いのに興味深々に窓辺に立った。そして上を見上げる。  何だかこの人も羨ましそうだ。  きっと、あの上は賃貸だろうな。家賃も高そう。この辺だと新築だったら家賃は十五万以上はするだろう。  警察官舎だと3DKで四万円で住める。こちらの方がお得だった。
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