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「まぁな……。でも悠子がそんな事言うなんて、珍しいなぁ。なんて思ってな」 「うん」  そういえば私は住まいに拘った事はなかった。警察官は、結婚すると官舎に住むように促されるし、それが当たり前だと思っていた。  ここの官舎は年季が入っている。  官舎もそれぞれ、色々ある。  新築物件の高級マンションから、何十年もある建物までそれぞれだ。  どこに当たるかは、分からない。  王子にある、借り上げ官舎は八十平米もある2LDKの高級マンションだった。  そこに希望していたが、当然希望は通らなかった。  でもここだって、住めば都。  大好きな人と結婚して、愛されて子宝まで恵まれて。  多分私は、幸せなのだろう。  そんな事をよぎりながら、女性のシルエットを見ていると何となく女性がこちらを見ている気がした。
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