902人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの人、こっちの視線に気がついたかな?」
夫も同じ疑問をもったようだ。
「うーん、どうかしらね」
曖昧に答えつつ、上を見上げる。女性のシルエットがすぐに消え、虹色のライトに変わった。
あの部屋だけ何だか、別世界みたい。
やっぱり羨ましい。
「あぁ、俺達もさ、早く金ためて、マンション買おうな」
「うん、そうだね」
私はそれに同調した。
私はそれ以降、部屋から見えるあの光が羨ましくもあり、夜、家にいる時は見つめるようになっていた。
あの虹色の光はとても綺麗だから。
毎日夜明けまで、あの光は点いている。女性のシルエットしか見た事がない。
(まさか、女性が2LDKの部屋に一人で暮らしてるのかな……)
だとしたら、バリバリのキャリアウーマンだろうか。
勝手に想像を膨らませていた。
最初のコメントを投稿しよう!