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「あの人、こっちの視線に気がついたかな?」  夫も同じ疑問をもったようだ。 「うーん、どうかしらね」  曖昧に答えつつ、上を見上げる。女性のシルエットがすぐに消え、虹色のライトに変わった。  あの部屋だけ何だか、別世界みたい。  やっぱり羨ましい。 「あぁ、俺達もさ、早く金ためて、マンション買おうな」 「うん、そうだね」  私はそれに同調した。  私はそれ以降、部屋から見えるあの光が羨ましくもあり、夜、家にいる時は見つめるようになっていた。  あの虹色の光はとても綺麗だから。  毎日夜明けまで、あの光は点いている。女性のシルエットしか見た事がない。 (まさか、女性が2LDKの部屋に一人で暮らしてるのかな……)  だとしたら、バリバリのキャリアウーマンだろうか。    勝手に想像を膨らませていた。
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