6/14
前へ
/693ページ
次へ
 ある日の当直明けの帰り。  時短勤務は有難かった。お腹がどんどん大きくなるにつれ、少し辛くなってきたからだ。  当直明け、昼には帰宅する事を許されていた。  お昼過ぎ、北赤羽のスーパーで買い物をしている時だった。スーパーの中で、あの女性にそっくりの女性を見たのだ。  ウエストが凄く細くて、髪が長い。 (あのマンションの人かな)  目は大きくてパッチリしていて、女優顔。  どことなく、麗子さんに似ているなと思いながら、買い物を済ませた。  レジ袋に買った食材を入れ、スーパーを出ると彼女が歩いている。  帰り先が同じだった。  まるで私が後をつけているようだ。 (これじゃ、私ストーカーじゃん……)  警察官の癖に何やってんのよ。と突っ込みたくなった程だ。  シグナルが赤になった時、私は距離を取って彼女の背後に立った。
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

902人が本棚に入れています
本棚に追加