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それから五日目の夜だった。またその日は私は非番だった。
夫は二十一時に帰宅。
私はまた窓辺に立ち、例のフロアから漏れてくる光を眺めていた。そろそろ虹色になる時間だろうか。
「まーた、眺めてんのか」
夫も窓辺に立ち、上を見上げる。
「うん。だって綺麗なんだもん……」
下の階のオフィスの窓からも光は漏れてきたが、普通の白い照明だった。
オフィスの照明と、あのフロアの照明は全く違う。
あの灯りは、黄色と赤が混ざった光。神秘的で美しかった。あの光がまぶしくて、羨ましくて強すぎて堪らない。
「あの女性、すっごい美人だったんだろ?」
人影が見えた途端、彼は発した。
「うん、そうよ」
私は、上を見上げながら答えた。
彼女のシルエット。今日はちょっと違うシルエットだった。腰の部分が少しふっくらしている。太ったのだろうか。
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