白バイ隊員と女性警察官の日常 第5話

３

　けれども私はあの女性と、被害者の工藤さんという男性がどういう関係なのか知りたかった。

　スーパーの帰りに振り返った時に目があったあの、美しい笑顔。彼女は人殺しなどする人ではないと、警察官ながら信じていた。

　これまでだって、色んな凶悪犯を見て来た。まさかこんな人が良さそうな人が？　って思う人が犯人である事だってあった。

　窓辺に幸せそうに景色を眺めていた女性。私が羨ましく思った女性。
　彼女が、不幸な人生を歩いているなんて思いたくはなかった。

　でもその一方で、真実も知りたい。

　食器洗いを終えた夫と一緒に下へ降りた。
　地域課の交番勤務の若い巡査が、ロープの前で立ち番をしていた。まだ若く、どこか高校野球少年のようなあどけない顔立ち。

　私達は彼の近くへ近づいて行き、警察手帳を見せた。若い巡査の目が丸くなる。