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 同業者だと知ると、彼はペコリと頭を下げた。 「どんな状況なの?」と夫は尋ねる。 「はぁ、ここの一番上に新婚夫婦が住んでいたそうなんですよ。まだ住んで間もないですね」  巡査の言葉に私はごくり。と、生唾を飲んだ。  あの女性の旦那さんか……。  巡査の話によると、やっぱり彼女の旦那さんらしい。奥さんの方の名前は美幸さん。  結婚してすぐに、旦那さんを亡くすなんて……。  考えただけで、悲しくなった。 「死亡推定時刻は?」 「夜の十時前だそうです」  私が昨夜、窓辺に立っていた彼女を見た時間だった。あの彼女に少し違和感を感じた事を思い出す。 「あの、奥さんに会う事出来ますか?」 「それが、刑事課の人が、奥さんに事情を聴いている所です」
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