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「そうですか……」と私は肩を落とした。
幸せそうな光を照らしていた彼女に一体、何があったのだろう。刑事課の人が聴取を終えて、戻って来たようだった。
「あ、堀井」
東西署の刑事課の警部補が私の顔を見るなり、言う。
私は一応、頭を下げた。かつては、林田さんがいた職場だ。
「あの、事情はお聞きしました……。奥さんに会えないでしょうか」
私は言う。
東西署の横山警部補は、短く嘆息した。
「俺達に何も話してくれん」
「はい?」
「まぁ、旦那が死んでショックなんだろうな。泣いて泣いてな……。お前が聞いてきてくれると助かる」
まさか、女性警察官として思わず要請されるとは思わなかった。
他の警官が、彼女を上から連れて来た。
工藤さんは、私の顔を見るなり「あっ」と声を出した。
顔は、涙でくずれていた。
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