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「えっ、心あたりは? 貴女と同じ髪の長さの女性ですよ」
悪い事を言っている事は自覚していた。申し訳ない気持ちで、心に不快を感じた。
でも、警察官として、確かめなければならない事実。貴女の旦那さんの愛人では? なんて残酷な事を聞いているようだ。
胸が締め付けられる。
いつも羨望の眼差しで見ていた、あのシルエットの女性が今、不幸の中にいる。
再び悲しくなった。いつも私は羨望の眼差しで見つめていたかったのに。幸せでいいなと、思っていたかった。
彼女は青白い顔で、かぶりを振った。
「そうですか……。何か、ごめんなさいね。貴女を余計苦しませてしまう形になってしまって……」
私は心から謝罪した。
彼女はまた、かぶりを振る。この人はいい人なのだろう。
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