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 小さいけれど白い外観で、まだ真新しいマンションだった。横長の二階建て。  どちらかと言えば、アパートに近いかもしれない。  住まいは一階の103号室。夫がインターホンを押した。 「はい」  すぐに応答があった。 「警視庁の者です。ちょっとお聞きしたい事がありまして」  夫が言うと、中から小さな足音が聞こえた。そして玄関のドアが開かれた。  中から出て来たのは、化粧が濃い茶髪のロングヘアの女性だった。マスカラもバッチリ。失礼だけど、どこかのキャバクラ嬢のようだ。  銀行に勤務していると、こんな派手な外見は出来ない筈。無職になった今、やったのだろう。 「何?」  眉を顰めるその女性。 「杉野美保さんですか?」  私が問うと「そうよ」と不愛想な返事が、かえって来た。 「工藤社長の事について、お聞きしたい事がありまして」
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