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 翌日の日勤。  私は交番で、事務仕事をしていた。  中野君と緒方警部補は、それぞれ警らへ出ていた。緒方警部補は何かと私に代わって、外仕事をやってくれる。有難い反面、申し訳ない気持ちになる。 (緒方警部補と佑里亜さんには、何かしないとなぁ)  妊娠してから、緒方夫妻にはどれだけお世話になっただろう。ぼんやりそんな事を考えて居ると、交番の引き戸が開かれた。  東西署の湯浅刑事だった。 「ご苦労様です。あの、お茶でもお淹れしますね」  私は立ち上がり、奥の給湯室へ身をひっこめた。お叱りのお言葉を頂くのだろうか。  内心ヒヤヒヤしながら、お茶を淹れ、ソファに腰かけた湯浅課長の前に置いた。 「お前、なかなかやるな。刑事根性じゃねぇか。交番勤務と、白バイがやってくれるよ」  お茶を啜りながら言う。 「はぁ、すみませんでした」
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