3/4
前へ
/693ページ
次へ
 あの時、既に工藤社長を殺した後だった。  その後、美幸さんが帰ってきて驚いた。美幸さんは夫の代わりに自分が社長になると、言い張ったらしい。  杉野美保の兄も会社経営者だった。妹を悲しませた恨みは勿論持っていた。工藤が経営する会社を融資するどころか、買取ると言い張ったらしい。  美幸さんは、それには反対した。  俺の妹を傷つけてそれはないだろうと、杉野美保の兄、勝巳は美幸と揉めた。  杉野勝巳の本来の目的はそれだった。危なくなっている工藤の会社に融資すると最初言っていたが、買収する事が目的だった。  杉野美保の兄は、美幸を殺害したという事だ。  私は言葉を失った。本当にドロドロだ。愛とお金が絡んだ悲しい事件。重いため息が出た。 「お前さんよ、刑事ごっこはもうやめて、お腹の子の事を考えるんだぞ」  お茶を飲みほした湯浅課長は、立ち上がり交番を後にした。
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

902人が本棚に入れています
本棚に追加