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「はい」と私は短く返事をしたが、湯浅課長に届いているかは、分からなかった。  その日の夜。  私は窓辺に立ち、ビルの一番上を見上げてみた。  三世帯とも、灯りがついていなかった。  もうあの、虹色の光が見られない事に私は寂しさを感じた。  あの灯りの中で、美幸さんは幸せに見えたのに。どんな気持ちでこの赤羽の夜景を彼女は見ていたのだろう。  一番上の住居フロアは、解体工事が行われる事になった。結局の所他の会社のオフィスが、入る事になった。
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