白バイ隊員の章 安西隊員の章 終わった筈の片思い

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 そう。私は彼の経営する会社の一部、都内にだけ展開している中華弁当屋さんで、働いていた。  八か月以上前、北赤羽に、その弁当店『来々屋』がオープンした。  無職だった私は『来々屋』に面接に行くと、即、採用となった。  時給も千百円。都内の時給としては良い方。  彼は社長として『来々屋』の北赤羽店に訪問した際に、知り合った。 私は彼に、見染められた。  バツイチのカレではあるが、性格は良い。ただたまに、見下される事はあるかもしれないが、基本的には『いい人』だ。  結婚式も丸の内にある、ホテル・アートランド東京で来月には式を挙げる。  店がオープンして一週間くらいで知り合い、そろそろ付き合って八か月になるだろうか。 「君が弁当屋をやめたくない理由あるの?」   「ないけど……。楽しいんだもの」  私は嘘を言った。 『来々屋』の近くには、警視庁第九点五方面交通機動隊の分駐所がある。
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