白バイ隊員の章 安西隊員の章 終わった筈の片思い

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 私は安西君に再会してから、心がおかしくなってしまった。何故かどこまででも、安西君を追いかけている自分がいる。  何故だろう。  私は着替えつつ、高校の時の回想を始めた。  高校二年の水泳の時間、私は水着を持参していたのはいいものの、バスタオルを忘れてしまった。  私は、プールを見学しようと思った。私は水泳は得意だったから泳ぎたかったけど、バスタオルを忘れたのだから仕方がない。  そんな時、新品のバスタオルを安西君は私にくれた。 『それ、やる』 『え? でもこれ、安西君のじゃぁ……』  戸惑う私に、安西君はにやりと口角を上げた。 『俺はさぼるんだよ。だからいいの』  当時不良だった安西君は、あっさり言い放った。  その時間、本当に安西君は水泳をサボり、図書室へ隠れていた。あの後、こっぴどく安西君は体育教師に叱られていた。  私は罪悪感を感じた。
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