白バイ隊員の章 安西隊員の章 終わった筈の片思い

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『ごめんね』  安西君に私は謝った。でも安西君はきょとんとし「は?」と首を傾げた。 『何で、あんたが謝るんだよ』 と、逆に問い返された。  不良だった安西君。彼は校内でたばこを吸い停学をくらっても、ケロッとしていた。学校はよくサボり、他校の子と喧嘩していたらしい。  絵に書いたような、まるで昭和の不良だ。  けれども何故だろう。私はそんな安西君に惹かれていった。高校三年生の時も同じクラスだったけれど、安西君はよく学校をサボったが、ある時から、真面目に学校に来るようになった。  茶髪もやめ丸坊主にしたっけ。でも相変わらず勉強は嫌いのようだった。  私は都内の短大へ進学する事に決まり、安西君は驚いた事に体育大学へ進学した。  卒業する時、好きと言えばよかったけれど、私は言えなかった。回想終了し、私は少女時代の淡い苦い思い出に、まだ浸っていた。
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