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「この辺に住んでるの?」
話は弾んだ。
安西君は既に婦警さんと結婚していて、赤ちゃんも生まれるという事だった。おめでたい話題だけど、私は心に穴が開いた。
「私ももうすぐ、結婚するんです」
そして式も決まってることを話した。結婚が決まってしまって、よかったかもしれない。じゃないと虚しくなるから。
「へぇ、そうか、よかったなぁ」
安西君は大人になっていた。もう不良少年だった彼はいなくて、もうすぐパパになる、優しい警察官の姿が思いきり、醸し出されていた。
人って変わるんだ。
それは驚きでもあり、少し寂しくて、少し大人になった気分。
私の右手には婚約指輪だけど、安西君の左手には結婚指輪。
(きっと綺麗な婦警さんなんだろうな)
その心は私をみじめにさせた。
(別にいいじゃない。今の私には関係ないのに)
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