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私だって、今井さんの事は嫌いではない。けれども何故だろう。この人と比べると魅力がないと思ってしまうのは。
どうしようもない事なのに。
私は自分の気持ちを踏むつぶすように、お弁当を託し、代金を受け取った。
「三百円のお返しになります」
私は三百円と、レシートを安西君に渡す。
「また、来るよ。うちの嫁もここの天津飯が好きでさ」
「あ、そうなんだ。是非是非また、お待ちしてます」
最後は営業スマイルで、ありがとうございました。と、頭を下げた。
後ろにいる従業員も一同、頭を下げる。
「ねぇ、あの人、そこの白バイの分駐所のお巡りさんだよね? あんた知りあいだったの?」
女性店長が私に問う。五十代半ばの貫禄がある女性だった。三人のお子さんのお母さんでもある。
「えぇ、そうなんです。高校の時の同級生で」
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