3/8
前へ
/693ページ
次へ
 店内の雰囲気を見まわしてみた。白で統一された内装。テーブルも白いテーブルクロス。端には一輪挿しに、綺麗なピンクの花。    女性向けの店だ。  俺一人じゃ入れなかったなぁと、苦笑いしつつアイスコーヒーを啜る。 「ねぇ、そういえば、あの新しい中華弁当屋さんの店員さん」 「あぁ、うん?」  俺は高校時代の同級生が、働いていた事を悠子に話したばかりだった。 「結婚しても、お店続けるの?」 「どうだろうなぁ。そこまでは」  そこまで込み入った話は聞けない。でも何だか幸せそうだった。 「あそこの中華料理のお弁当、まだ食べた事がないのよねぇ」  悠子は苦笑いする。  中華料理と言えば、俺と悠子が交番に勤務している際、よく向かいの中華料理の店で、出前を取っていたっけ。  悠子はいつも、天津飯かチャーハンだった。  俺が天津飯を選ぶのは、無意識かもしれない。
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

902人が本棚に入れています
本棚に追加