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会計を済ませ、北赤羽に帰った。
例の中華弁当屋に寄った。昼のピークは過ぎていたので、空いていた。
「いらっしゃいませ」
増原さんの声が響く。
今日も愛想の良い笑顔だった。
「あら、今日は奥様といらしてくれたんですね」
「あぁ、うん」
俺は照れながらも返事をすると、悠子は「こんにちは」と会釈した。
いつも天津飯を選んでいるが、よく見るとメニューは色々あった。チンジャオロースに、レバニラ炒め。エビマヨ。なかなか種類は豊富だ。
「今、何か月なんです?」
世間話の一つとしてだろう。増原さんは悠子にそんな話題をふっかけた。
「ちょうど五か月過ぎた所で。性別も男の子だって分かったばかりで」
「そうなんですか。楽しみですね」
ニコニコと、メモを取る体制をとりつつ、増原さんは俺達に視線を向けていた。
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