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「あ、えっと天津飯の大盛りと、えっと白身魚のあんかけ弁当と、それと……。あぁ、酢豚弁当と」 「かしこまりました」  結構な量を注文したにも関わらず、増原さんは笑顔を絶やさず営業スマイルを保ちながら、メモをし厨房に注文を入れた。  沢山注文した俺を見て、悠子はギョッとした。 「ちょっと、ちょっと、そんなに食べれるの?」  小声で眉を顰められた。私はそんなに食べられないよ。と血の毛を引いたような顔をしている。 「余ったら、明日に繰り越して食うからいいよ」 「お先にお会計失礼します」  手慣れた手つきと笑顔で、増原さんはレジを打つ。    俺は二千円札を出しつつ、増原さんってどんな人だったっけと、記憶を辿った。  といっても俺は不良だったから、ほとんど学友について記憶がない。学校を思いきりサボったし、あの頃は人をあまり信用していなかったからだ。  
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