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北赤羽の分駐所の近くの弁当屋。ここから我が家は近い。
シグナルが青になり、道路を渡るとすぐに警察官舎は見えて来る。
「あの人、結婚するんだよね。幸せそうだったね」
悠子は昔から、人が幸せそうにしている人を見ると嬉しくなる人だった。新人の警察官の頃から、何か事件が解決し、自分が携わっていた事で
当事者からお礼を言われたりすると、心から喜んだ。
本当に心が綺麗な子なのだろう。
俺はそこに惹かれたのだが。
「そうだな。相手はどんな人か聞いてないけどな」
「そっか」
「俺は何かと高校時代、世話になった。宿題写させてもらったり」
優等生の悠子にはこういう話題はムッとするかと思ったが、悠子は素直に笑ってくれた。
官舎に戻ると、悠子はお腹が張っていたかもしれない。少し横になった。
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