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そのMIRAIは、次の信号で黄色から赤になった瞬間、猛スピードを出して行った。
俺はサイレンを鳴らした。
「そこのMIRAI、練馬ナンバー〇〇ー〇〇、停まって下さい」
俺の拡声に素直に従ったMIRAIは左にウインカーをつけ、大人しく停車可能な位置に停車した。
バイクを停め、MIRAIの運転席の傍による。
運転席の窓は既に開かれていた。
四十代前半、いや三十代前半かもしれない。
そのドライバーは、準備よく車検証と免許書をスッと手渡した。
「運転手さん、お急ぎでしたか」
「あぁ、とっても急いでいるよ」
チラッと俺の顔を見る。眼鏡をかけた痩躯な男。どこか神経質そうだ。
MIRAIは一応、高級車としてみなされている。下手すりゃベンツより高い。
「お急ぎなのは、分かりますが、信号無視は交通違反ですから」
俺が告げると、俺の顔をキッと睨みつけた。
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