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「詳しくは担当の署員が聴取すると思いますが、念のため。奥様のお名前をお聞かせ下さい」 「昨日までは増原唯香だったが……」 「えっ!?」  思わず頓狂な声が出た。 「君は妻を知っているのかね?」  俺の過剰な反応を見て、凝視するような視線を向けてくる。まぁ、当たり前と言えば、当たり前だ。俺の反応は明白だと思われたのだろう。 「はぁ、高校時代の同級生でして。僕の勤務する分駐所の近くのお弁当屋さんで働いていらっしゃいましたよね?」 「あぁ」  すると、杉野という男は黒目をカッとさせた。白目の方が多いので、少し迫力があり、恐ろしく感じたが。 「そうか、それで唯香はバイトを辞めたくないと言ったんだな!」 「は?」  俺は意味が分からず首を傾げる。 「唯香は、俺の妻になった。いわば社長夫人だ。優雅な暮らしが出来るのに、あの店のバイトを辞めないと言ったんだ。君に会う為じゃないのかね?」  俺を、疑っている鋭い目つきを、向けてくる。不倫の疑惑をむけられ、俺はムッとした。
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